切なさに似て…
帰る途中、コイン洗車機で車を洗い、帰ってきた早々洗濯機を回す。次に、それぞれシャワーを浴び、潮風にさらされべとついた体を洗い流した。


「自分のは自分で干してっ」

焼鳥を頬張り、ビールを飲む信浩の横に洗濯カゴを置く。


テーブルには串に刺さった焼鳥が盛り沢山並べられている。

「何でだよ、洗濯は柚果の仕事だろ」

信浩は焼鳥の串を片手に、不服そうな顔を上げた。


「焼鳥で手を抜いたんだから当然でしょ?第一、何で私が信浩の洗濯物干さないといけないのよ?」

「ったく。俺のパンツを干すのはそんなに嫌か?」

皿に串を置き、指を舐めながら立ち上がり私を見下ろす。


「うん、嫌っ」

「あっそ」

パンツに罪はないのになー。可哀相に、こんなに嫌われて。

って、干しながらぶつぶつ呟く信浩を無視して、いつもの定位置に落ち着く。


入れてくれたカシスオレンジを一気に飲み干し、窓際に設置された突っ張り棒に腕を伸ばす信浩に「おかわりっ」と、催促した。


「お前なー、俺は今パンツ干してんの。見てわかんねーか?」
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