切なさに似て…
携帯をしまい込んだ鞄を床に置いた私に。


「何だよ。出ないのかよ?」

と、信浩は眉を上げ、電話にでなかったのがそんなに可笑しいのか、笑い声を漏らす。


「出ても良かったんだけど、話し長くなりそうだから。ほら、前に話してた定例会の友達」

そう言いながら、私はベッドの縁に腰をかけ、足をぶらぶらと揺らす。


「あぁ、はいはい。あの例の、ガールズトーク会か」

信浩はスムーズな手つきでジッポをカチンと弾き開け、素早く閉めて開けてを繰り返し、手の中で弄ぶ。



SNSで知り合ったさっちゃんと、月1で開催されるガールズトーク定例会の話しをした時。

何だそれ!?と、聞き慣れない言葉を耳にしたような変な顔をさせ。

何よりも、私がSNSのサイト登録をした事実に、そこまで驚かなくてもと失礼過ぎるくらいに驚いていた。

『どうせ面倒になってすぐやめるんだろ?』と、言う信浩の通り、さっちゃんみたいに日記に書くような話しもなく、最近はサイトを開くことすらない。


「ほーら、やっぱ面倒臭せーんだよな。柚果の場合、面倒ってよりかったるいのか」

そう言って信浩は、お前のことなら何でもわかるといいたげな顔を上げた。
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