切なさに似て…
職場に着き、更衣室のロッカーから白崎さんのネームプレートが外されていたのを見て、仕事量が増えたことを思い出した。

今日が土曜日だったってことも、予定表を見て思い出す。空いている地下鉄に違和感さえなかった。

それすらも忘れてしまっていたなんて。

昨晩、帰りが遅くなるって話しをしてたばかりなのに。


それくらい、信浩の言葉が信じられない。素直に受け入れることが出来ない。


どうして、それを信浩が言うの…。

…それを言いたかったのは、寧ろ私の方なんだよ。


仕事が終わって信浩の部屋に帰ったら、嘘か本当か。それとも何かの冗談なのか。聞かなきゃいけない。

嘘や冗談だったら、笑い飛ばせばいい。


だけど、…本当だったら。

私はどうしたらいいのだろう。


例え彼女になったとしても、いつか終わりが来ることを考えると、“友達”の方がマシ。と、信浩の傍にずっといられるために、一番楽する方法を選んだのは自分なんだから…。
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