切なさに似て…
頭の中は機能を果たしていなくとも、キーボードを叩く指は勝手に動き回る。

これが4年間培った成果なのだろうか。


仕事中は不思議と眠くなく、働かない頭をどう活かすかが問題で、表情に営業スマイルを描く余裕はない。

かろうじて、濃いめにいれたコーヒーが、意識を繋ぎ止めてくれている。

無理に作った笑顔は口許が引き攣って、こんなんじゃ駄目だと思いつつも成す術がなかった。

それでも、土曜日だというのにしっかりと20時まで残り、自ら残業してしまう。


早く帰りたい。

込み上げてくる思いは、そう繰り返しながら。


早く帰ったとしても、信浩の帰りをまだ来ないと待ち侘びるのが堪えられない。

それなら、遅くまで仕事をしていた方がまだマシ。


どんな顔して部屋に入ればいいのか。

そればかり、考えている。
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