切なさに似て…
「あれ、そういや今日だって言ってたじゃん。ガールズトーク会だっけ?」

そう言うと、早くも1本目のビールを飲み干した。


「あぁ…。特にいつもと変わらなかったよ」

自分のことなのに興味なく吐いた。


たいていの人間ならこんな時、何かあったの?なんて要らぬ詮索をするのだけれど、信浩は違う。


「あははっ。ほんと、柚果らしいな」

って、追究することをしないで笑い出した。


「ってか、信浩そのスウェットいつ洗濯すんの?昨日も一昨日もそれじゃなかった?」

「味が出ていいじゃん。つーか、柚果だってスカートって有り得ねぇ」

空間に余裕がない部屋に、信浩の笑い声が反響する。

スウェットのダークグレーのセットアップは、いかにもみすぼらしい。それに、味ってなによ?どさくさに紛れて、バカにしなかった、今?

「そこで笑う、フツー…?」

「あっははっ!!似合わねぇー」

私の冷ややかな視線を無視して、チョコレートブラウンのサラサラヘアを揺らし露骨に大笑いする。


「ちょっとっ!笑い過ぎじゃない?」

「いやー、久しぶりに見たなと思ってさ、高校以来」

「会社の制服はスカートですけどっ!!」

むきになって唇を尖らす私に目線を預け、お腹を抱えておかしそうに笑う。

「んなの、見たことねーよ」


…まだ笑うかこの男はっ!!
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