切なさに似て…
「あーっ、もうっ!着替えるっ!!シャワー借りるからっ」

私はバッと立ち上がり、いーっだっ。と、意味のない捨て台詞を吐き信浩に背中を見せた。


「柚果」

そう声がした方に体を向き直すと。


「ほらよ、っと」

と、タオルを投げて寄越した。

「はいよ、っと」

なんとも朗らかに受け取り、パタンと静かに浴室のドアを閉めた。


キュッと蛇口を捻ると、シャワーヘッドから水が吹き出す。

最初は手が付けられないくらいの冷たい冷水、じわじわと生温い水から熱いお湯へと変化したところで、それを全身へと浴びせた。


笑われたことに私が本気で怒っていないってこと、信浩はよくわかっている。

そして、あんなに馬鹿にしたような態度を取ったけれど、それは信浩の本心じゃないってことも私はよくわかっていた。


その特別意識しないで、やんわりとした気遣いがまた心地いい。


ステンレスのラックから、私専用のシャンプーボトルのノズルを2回プッシュし、満遍なく濡らした髪に馴染ませる。
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