切なさに似て…
時々、思わせぶりな態度をとる信浩に期待を抱きながらも、そんなわけないと押さえ付け、虚しくなる。

恐らく私も、知らず知らずに信浩にそんな態度を出していたのかも知れない。


忽然と消えた信浩の気持ち、なんとなくわかる。私も、黙っていなくなりたくなる時があったから。

信浩の前から姿を眩ませて、ゲーム感覚でリセットボタンを押してなかったことにしたかったことがあったから。

好きだって言えないのなら、いっそのこと好きだって事実を忘れたかった。


信浩がいなくなってから皮肉なことに、背けていたことに向き直っている。

色々なこと全部を、悔やんでしまっている。


自分自身が愚かだったと、今頃気づいてしまっても、後の祭りなのに。自分に腹が立って仕方ない。

リセットボタンじゃなく、いついつに戻るみたいなセレクトボタンがあれば迷わず、高校入学した当時のボタンを押してる。


ほんと…、あまりの馬鹿さかげんに笑えない…。
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