切なさに似て…
開かれたドアの先から聞こえてくる、発車を知らせる作られた警笛の音を背中に受け、階段を駆け上がる。
人の群れを掻き分けあちこちにぶつかりながら、背の高いビルがひしめく中心街へと降り立った。
闇に包まれている空の下は、今が夜とは思えないほど。平日だというのに賑やかな人通りに、ちりばめられた色とりどりのネオンといい、圧倒される。
地下鉄の駅から3丁ほど走れば鮮やかな街とは打って変わり、これぞ夜の街だと言わんばかりに、怪しげな雰囲気を醸し出している。
困難に切れる息遣いを無視して、一瞬怯んだもののその訝しい街中を全力疾走する私の方が、絶対的にいかがわしい。
駅から外れた場所にある居酒屋の前に、遠目にわかるくらいの2つの人影。
近くまで行くと、そのシルエットがはっきりと浮き彫りになる。
「遅ーいっ!!」
水銀柱にもたれかかっていた治が、息を切らす私にそう一言浴びせた。
これでも急いで、揚げ句に全力で走って来たというのに。遅いと言われても困る。
色々と反論したいのに、思いの外なかなか呼吸が整わない。
「…あ、んたがっ、10、時までっ、来い…、って…」
歩道に設置された防護柵に両手を付き、はぁはぁと、乱れた息継ぎを肩で繰り返す私に、聞き覚えのある甲高い声が振り落とされた。
「柚!?ちょっと、柚じゃん!!」
肩に急激に重みが加わり、歪めた顔を後方へと向かせる。
人の群れを掻き分けあちこちにぶつかりながら、背の高いビルがひしめく中心街へと降り立った。
闇に包まれている空の下は、今が夜とは思えないほど。平日だというのに賑やかな人通りに、ちりばめられた色とりどりのネオンといい、圧倒される。
地下鉄の駅から3丁ほど走れば鮮やかな街とは打って変わり、これぞ夜の街だと言わんばかりに、怪しげな雰囲気を醸し出している。
困難に切れる息遣いを無視して、一瞬怯んだもののその訝しい街中を全力疾走する私の方が、絶対的にいかがわしい。
駅から外れた場所にある居酒屋の前に、遠目にわかるくらいの2つの人影。
近くまで行くと、そのシルエットがはっきりと浮き彫りになる。
「遅ーいっ!!」
水銀柱にもたれかかっていた治が、息を切らす私にそう一言浴びせた。
これでも急いで、揚げ句に全力で走って来たというのに。遅いと言われても困る。
色々と反論したいのに、思いの外なかなか呼吸が整わない。
「…あ、んたがっ、10、時までっ、来い…、って…」
歩道に設置された防護柵に両手を付き、はぁはぁと、乱れた息継ぎを肩で繰り返す私に、聞き覚えのある甲高い声が振り落とされた。
「柚!?ちょっと、柚じゃん!!」
肩に急激に重みが加わり、歪めた顔を後方へと向かせる。