切なさに似て…
「麻矢…。久し、ぶり」

「久しぶりなんてもんじゃないよ、ちょっと!柚ーっ!!マジで元気だったーっ!?あんた、卒業してから一切連絡寄越さないんだから!!」

若干口をへの字に折り、私を薄目で睨み据えた麻矢は、背中にしがみついてきた。


ただでさえ、走って来て汗だくで熱いというのに、覆いかぶさる麻矢に余計に熱く感じる。


「麻矢…、重いって。…同窓会とやらは終わったの?」

私の背中にぺったり張り付いた麻矢の体を引っぺがし、見上げた視線の先にいる治にそう聞いた。


「みんな二次会行ったわ」

と、動いた口許が赤く光り、煙たい靄が吐き出された。赤い光はタバコの火種で靄がタバコの煙だと、戻りつつある息遣いにようやく平静さを取り戻す。


「今日が同窓会なんて知らなかった」

「信浩から聞かなかったのか?」

「今月末だとは言ってた気がするけど…。っていうか…」

私が言おうとしていた言葉に、横入りする治の口。


「とりあえず、寒いしあそこ入ろうぜ」

靴の裏を使いタバコの火を消し去り、丁寧に吸い殻をタバコの箱に押し込んだ治の、指を差す方向には[BAR 渡辺商店]という、ブルーのイルミネーションが輝く看板が見える。
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