切なさに似て…
選択教科に音楽を取り入れていた私達は、音楽の女教師によく“シンバルビンタ”と称した、両頬を平手打ちされていたことを、思い出してみたり。

私達3人は短い高校生活を辿って、盛り上がったところで1杯目のグラスはあっという間に、すっからかんとなった。


「ブルームーンください」

麻矢のオーダーしたカクテル。

ようやく綻んだ顔をしたバーテンダーが、シャカシャカとスピードをつけシェーカーを振る。その様がカッコ良く、一体何が出てくるのだろうと、くぎづけになる。


逆三角のカクテルグラスに注がれ、薄紫色をした綺麗な色彩に飲むのが勿体ないくらいに見えた。


2杯目のカシスオレンジに手を伸ばした時。治はジーンズのポケットから紙切れを取り出し、スッと私の前に滑らせる。


「信浩の居所」

治はそう言って、ジントニックが注がれたタンブラーグラスに口をつけた。


2人に再開してから、私からは申し出ることができなかった本題へと入ろうとしている。

ここにきて、ようやく…。やっとと言えばいいのか、微妙だった。
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