切なさに似て…
口にくわえたタバコに火をつけ一息煙を吐き出すと、話しを付け加えた。

「だから、言っただろ。お前ら、めんどくせーから付き合っちゃえよって」


モクモクと吐き出された煙と一緒に、吐き出された台詞に。

学校の制服を着崩した治の容姿と、同じように着崩した信浩に麻矢と私が、一瞬だけ頭の中に映された。


どうしてそんな話しをされているかなんてことは。

ぱちぱちと瞬きを繰り返し、キョロキョロと落ち着かない私の瞳が、全てを物語っていた。


白崎さんには言えても、この2人は高校から私のことを、信浩のことをよく知った間柄で。長い間、偽ってきた想いを打ち明けるなんて。

ましてや、状況は16や17の時に比べて、ガラリと変貌している。とっくに成人を迎えて、今年22歳になるというのに。

…なのに。


“そうだよ。信浩が好きだったよ。ずっと…”

そんな告白紛いなこと、言えるわけがない。


いつもの私なら、作り笑いを浮かべて。“何言ってんの、やめてよね。そんなわけないし!”くらいな勢いで全否定していたと思う。


数時間前に交わした白崎さんとの会話が脳裏にフッと飛び込んで来て、私は深く深呼吸をしたあと、キュッと結ばれていた唇をゆっくりと離した。

ずっと閉じ込めていた気持ちを、蓋に積もった雪をバーナーで溶かして、その頑丈な蓋をバールでこじ開けたくなった。


——これで、私は楽になれる…?
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