切なさに似て…
それに便乗して、麻矢も笑い出して。

「日曜日に飛行機で行ったんだけどさ、空港まで見送ったわけよ、わたしら。そしたら、もう搭乗口だってのに、ウジウジしててさ。見てて哀れに思っちゃったよ」


「そうそう!どんだけだよ。いじけすぎだろっ!」

アッハハッ、なんて2人は爆笑しちゃってる。


私一人がその笑いについていけず、おしぼりでグラスについた水滴を拭き取ったり、おしぼりをクルクル丸め巻いたり、手元を世話しなく動かす。


「…だって。彼女いたじゃん。信浩には常に…、彼女いたじゃないの。それなのに…、意味わかんないっ。好きだとか、そんなこと言われたってそんなの嘘っぽくて…、信じられないよっ」

私の口から募り溢れ出た不信心は、治の一言によって不完全燃焼で終わった。

「そんなの柚も同じだろ」


それは、…そうだけど…っ。


「どっちもどっちだよ、あんたらは」

麻矢はさっきまでの含み笑いとは別物の、優しい笑顔で私の顔を覗き込む。
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