切なさに似て…
目線を落とし、そっと開いた手の平。紙には九州方面の住所が書かれている。


「あっちのラーメンも美味しいのかな?」

ふと、麻矢は呑気なことを言い出す。

「それは食ってみなきゃわからんな」

治までもが本題からズレたことを言い出す始末。


…当然行くだろ…?

信浩に、会いに…?

…私が?


何も告げずに私の前からいなくなったくせに…。


「…行かないよ」

吐き捨てるような呟きを残し、私は2人に背を見せると、静止していた足を踏み出した。


「はぁっ!?」

「何それっ!?」

背後から2人の素っ頓狂な声が交差し、その甲高い声は夜更けの街へと溶け込もうとしている通行人も振り返るほど。


私はそんな治と麻矢に背を向けたまま、ビルに阻まれた街を駅へと足を早める。

「柚っ?行かないって…」

「待てってっ!」

後方で聞こえる2つの慌ただしい足音を受け、視界を白に埋めつくす雪を切って歩く。
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