切なさに似て…
…会いになんて、行けるわけない。

教えてくれなかったんだから。そんな重要なこと、一つも私には知らせてくれなかったのに。

どの面下げて会えばいいの…。


「…が悪いんだよっ。信浩が悪いんだよっ…、急にいなくなるからっ…」

寒さからか、空虚からか私の出た右足は勢いよく地面を踏み潰す。


降り落とす雪はロードヒーティングの効果ですぐに解け、濡れたアスファルトに姿を消して行く。

後を駆けて来た治と麻矢に、両腕の自由を奪われた私は、そこで踏み出す足を止めた。


「信浩に口止めされたんでしょ?ってことは、私には教えたくなかったってことでしょ?…それなら、行けないよっ…」

くいっと頭を上げ、白い海と化した夜空を見入る。


顔中にペタペタ張り付く雪は水へと解け、私がまるで泣いているみたいに頬を雫が伝う。


「お前も…、大概意地っ張りだよな。確かに、言うなって口止めされたけどよ。じゃ、俺はなんのためにお前に教えたんだよ」

「そうだよ。柚?あんたなんで治に電話して来たのさ」

サラサラと降る雪の音に交じって、後ろから2人の声が耳に届く。


…言いたいことはよくわかる。

治と麻矢の気持ちは痛いくらいに、私の心を揺れ動かしている。
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