切なさに似て…
「…素直になって、いいんじゃないのか?」

「そうそう。信浩、待ってるよ」

「自分から消えたくせに…。待ってるって…。笑っちゃう。素直に…、ね」

…考えておくよ。そう呟き、上げていた顔を下ろし振り返ると、治と麻矢は切なそうに微笑み返す。


「あんた、顔濡れてぐしゃぐしゃだよ~」

ちょっと待ちなよ~。と、麻矢はバッグをがさがさ漁り、ハンカチを出すと私の冷えた顔に沿えてくれる。


「わたしらは柚から連絡来るの、ずっと待ってたんだからね。友達でしょ、わたしら」

麻矢のハンカチが額から瞼に被さって、視界が遮られた。


自分から遠ざけたのに、友達なんていらないって。

私がきちんと見ようとしなかっただけで、いつだって治も麻矢も見てくれていたんだ。

信浩との“友達”関係を続けるのに躍起になってて、よく周りが見えていなかった。


今更、こんなこと言うの遅いかもしれないけど。

私の台詞じゃないけど…。
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