切なさに似て…
「私はあんたじゃないんだからわからないのは当たり前じゃん。あの人に言われたからって、体捧げるあんたの気持ちなんてわかるわけない」


レナの吐き出した言葉の意味を噛み砕き、投げやりにそう吐き捨てる。


「他に、方法が見つからなかった…」

「だから、単純だって言ってんの。何、あの人の言いなりになろうとしてんの。馬鹿じゃないの?それこそ思う壷じゃん」

もう一度、「馬鹿じゃないの」と天井へ向けて囁いた。

「…高校、行きたかったら…、体売ってでも、…金作れって、…あいつが、…言うから…。金持ってくるまで…、帰って来るなって。…あいつが。あの人が…、当然でしょ、みたいにわたしを見るから…」

声を震わせてレナが言うあの人はもちろん、あの女のことで。あいつとは、その非情な女の男。要は彼氏。



「…泣いたって。どうにもなんないんだって。いい加減、解りなよ」

聞こえてくる嗚咽は、声を極限まで押しやっている証。


それでも、同じ泣くなら、思い切り泣けば気が紛れるのではないだろうか。
< 286 / 388 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop