切なさに似て…
『レナは泣けばいいと思ってるんでしょっ!!泣いたってダメなんだからっ!!』


幼少の頃から様々なことを我慢せざるを得なかった。

欲しい物、食べたい物、行動、泣くこと。自然に湧き出る感情をひたむきに我慢して来た。

欲を出したってどうにもならないから。でも、我慢すればする程、惨めになるだけ。

楽しくもないのに笑ってみたりして、虚しくなるだけ。


普通の一般家庭に生まれ育ち、親の愛をたっぷり注がれた人の気持ちなんて、さっぱりわからないけれど。

レナの気持ちはわかるつもりだ。


どんな想いで制服の袖に腕を伸ばし、どんな想いでたかが3万を貰い、どんな想いであの中年オヤジに着いて行ったかは、わからないけれど。

それ以外のことなら、わかるつもり。


電気が停められた狭い部屋で、泣き喚くレナと身を寄せて、いつの間にか眠っていた。

明くる日。繕った靴下を嬉しそうに履いたレナは、昨晩泣きじゃくっていたのなんて記憶から消し去ったかのような顔をしていた。

だけども、夜になれば真っ暗な部屋の隅っこで、泣いてばかりいた。

4歳のレナは寂しくて仕方なかっただろうに。
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