切なさに似て…
「あの家出てここに住み込めば?この部屋の主は3年間、帰って来ないから。どうするかは自分で決めなよ。帰りたければ帰ればいいし…。朝までに決めて、もう寝るから」

それだけを言うと私は天井から顔を背け、目を閉じた。


闇に飲み込まれる前に、私と信浩は電気が消えた部屋で語り合っていたけれど。

明るいと言えないことも、暗ければ言えたりするよね。


信浩以外の誰かと生活を共有するなんて、考えられなかったけれど。レナならいっか…。

特別に理由なんてなく、そんな安易な考え。

単に、幼い頃は手を取り合って生きて来たんだから、今だってそれが出来ないわけがない。そう思ったから。


この部屋の主に、断りを入れないと。許可出してもらわないとな…、信浩に…。


近くで聞こえた啜り声がいつしか消え、疲れていた私に一気に眠気が襲いかかる。


…私は信浩に会いに行くしかないのか。

きっと…、びっくりするんだろうな…。
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