切なさに似て…
廊下の窓の外は、昨夜の雪が嘘のように、晴れ渡った空が広がっていた。
鞄へと手を滑り込ませ、携帯電話を取り出した。
昨夜、教えてもらった麻矢の携帯番号がディスプレイに写し出し、躊躇うことなく通話ボタンを押した。
[もしもし、柚?ちょうど良かった、今ねー。柚にかけるとこだったの]
そう陽気な声が耳に押し当てた携帯から流れて来た。
すぐに電話に出たところを察すると、どうやら本当に私へ電話をするつもりでいたらしい。
[あのあと、どうしたか心配でさ]
顔は見えないのに、照れた麻矢の顔が浮かんでくる。
「昨日は、ごめんね」
[いいってことよ、そんなの。それより、大丈夫?]
「うん、大丈夫。ありがと。レナ…、家出て、一緒に住むことにした。それで…」
駅へと歩きながら、その後に続く言葉を言いにくそうにすると。
[会いに行く決心でもついた?]
簡単に言葉にした麻矢に、少しの不満を感じた。
「…っても、休みは取れないから、まだ先の話しだけど」
ただでさえ業務が滞っているのに、忙しい中休むなんて以っての外だ。
[そっかー。治にも教えてあげよーっと]
そんな明るい声は、電話の向こうでニタニタと笑う麻矢の姿が見なくてもわかった。
鞄へと手を滑り込ませ、携帯電話を取り出した。
昨夜、教えてもらった麻矢の携帯番号がディスプレイに写し出し、躊躇うことなく通話ボタンを押した。
[もしもし、柚?ちょうど良かった、今ねー。柚にかけるとこだったの]
そう陽気な声が耳に押し当てた携帯から流れて来た。
すぐに電話に出たところを察すると、どうやら本当に私へ電話をするつもりでいたらしい。
[あのあと、どうしたか心配でさ]
顔は見えないのに、照れた麻矢の顔が浮かんでくる。
「昨日は、ごめんね」
[いいってことよ、そんなの。それより、大丈夫?]
「うん、大丈夫。ありがと。レナ…、家出て、一緒に住むことにした。それで…」
駅へと歩きながら、その後に続く言葉を言いにくそうにすると。
[会いに行く決心でもついた?]
簡単に言葉にした麻矢に、少しの不満を感じた。
「…っても、休みは取れないから、まだ先の話しだけど」
ただでさえ業務が滞っているのに、忙しい中休むなんて以っての外だ。
[そっかー。治にも教えてあげよーっと]
そんな明るい声は、電話の向こうでニタニタと笑う麻矢の姿が見なくてもわかった。