切なさに似て…
上手く説明出来ない状況の私に難しそうに眉を歪ませるレナ。


「その人とお姉ちゃん、ワケアリなの?」

と、意味深めいた言葉を漂わせスプーンを口へ運ぶ。


“ワケアリ”といえばそうかもしれないし、そこまで深くはない気もするし。

「信浩とはただの同級生だから」

「ただの同級生に部屋を貸さないよ」

納得いかない。と、わずかに頬を膨らます。なぜレナが不満げなのか、そっちの方が納得できない。


「色々あるわけ。ごちそーさま」

私はカチャッ、皿にスプーンを置き、手にお皿を乗せ立ち上がるとレナも後を追うように腰を上げた。


「その人、お姉ちゃんのことが好きなんだ」

その言葉に、ガチャンッと激しい音を立て、お皿を台所のシンクの中へ沈めた。レナはその後に続きお皿を置き、後ろから追い打ちをかける。


「…図星?」

「そんなんじゃない。レナ、今日は布団だからね」

目許が引き攣る感覚に、レナに背を見せたままベッドへと体を埋める。


「うん」

レナはそう返事をし、フクザツなんだね。と、付け足した。
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