切なさに似て…
「そっ、“クソガキ”にはわかんないよ」

クソガキを特に強調して笑って言う私に、ベッドの縁から顔を出し眉を吊り上げた。


「クソガキ、クソガキって。あの人達もお友達なの?」

興奮をあらわにして鼻の穴を膨らます。どうやら昨夜、治にクソガキと連呼されたのがよっぽど気に入らなかったらしい。


「そっ、みんな同級生」

私の唇の動きを目で追うと、眉を吊り上げたままレナはベッドの下へと顔を隠す。それが照れ隠しだったと、次に紡がれたレナの台詞で理解した。


「ふーん。…何熱くなってんのとか思ったけど。…いい人、だね。ちょっと熱苦しいけど…」


レナは面白そうに大笑いする私を見て見ぬフリし、テレビってつくの?と、わざとらしくリモコンを弄る。


『さすが柚の妹だな』

かわいくないガキのあとに、そう余計な一言を付け加えられたことを思い出し、「あんたのせいで…」と文句を言いかけたのと同時に。

パチッとブラウン管に光が通され、バラエティー番組なのかスピーカーから騒々しい笑い声が響く。

この部屋で、実に久しぶりにテレビから光が漏れてすぐ、レナの口からも歓喜の声が漏れた。

「テレビ見るの、久しぶり」
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