切なさに似て…
翌朝、事務所へ入ると結城くんと澤田さんで、なにやら深刻そうな表情を浮かべ話し込んでいた。

挨拶をするも気づいていない２人に、肩を竦ませすごすごと自分の席へと向かう。


「…そういうことならきちんと報告するなり、前もって申し出してくれないと」

「すみません…」

腰に手を当てた澤田さんに、結城くんが平謝りしている場景は珍しい。


聞き耳を立てるわけではないが、すぐ側で話す２人の会話はいやでも耳に入り込む。

「本来なら本人が報告するべきなんですがね。まぁ、いいわ、とっくに退職した人ですからね」

呆れ果てた様子の澤田さんの傍らで、申し訳なさそうに瞳を歪ませた結城に放たれた言葉で、すぐに白崎さんの事だと判断できた。


「あら、立花さんもう来てたの？」

私の存在に気づいた澤田さんの声が、前触れなく飛ばされる。


「おはようございます」

一礼し頭をあげると、興味は別のところへと向かったのか、私を見据えていた澤田さんの顔は反対を向いていた。
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