切なさに似て…
空間があったはずの背中がぴったりとくっついて、肩から離れた信浩の両手は、私の肩の上辺りに置かれている。


身体と身体が密着して向かい合う。

自然に喉の奥がゴクッと鳴るのはしかたがない。闇に慣れてしまった私の瞳には、うっすらと信浩の顔が目の前に映し出された。


「何があっても、俺から離れていかないか?」

そう聞かれて。


そんなのわかんないよ。永遠なんてもの、感じてこなかったから。


そんな捻くれたことが答えじゃないんだというのは、ひしひしと感じ取れる。


「絶対、離れない…」


離れたくなんてない。

それは信浩も一緒だよね…?


「俺も…、一緒」

放たれた囁き。鼻先に吹きかかる信浩の吐息が生暖かくて、くすぐったい。


暗くてよく見えなかったけれど、優しく微笑んだ信浩の顔。

迫りくる真っ黒い影に、身構えるかのように静かに目を閉じた。


そっと短く落とされたキス。重なった唇が一瞬遠ざかり、また今度は強く重なり合う。

これでもかと言わんばかりに離れては重なる唇に、息苦しさに全身が火照り熱くなる。


「んっ…」

「そーいう声を、他の男に訊かせてたわけ?」

ムカつく。と離れた唇がそう動いて、反論しようにもまた口を封じられた。
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