切なさに似て…
口調は落ち着いているというのに、口元は弧を描き楽しそう。これはどう見てもからかわれているに違いない。


「ほん、き?」

半信半疑で口に出した台詞。冗談とも取れる態度に私はいちいち反応しているのか、それとも本当に本気で言っているのか。


私は閉じた唇をへの字に曲げ、じっと信浩の顔を見上げる。


すると、顔を寄せコツンと私たちの額がぶつかる。数センチ先の信浩の瞳は綺麗で、長い睫が時折私の瞼をくすぐる。

そのままの状態を何秒か保ち。


「本気…」

信浩はそう答えて、短いキスをした。


パッと離れた額と身体。すると信浩は私の頭の下に腕を滑らせ、自分も仰向けになって枕に頭を置く。


急にどうしたのかと、横に頭をずらした私は、すっかりとおとなしくなった信浩へと視線を合わせた。


「…だけど。やめとく、帰したくなくなるから」

と、私の身体を自分の胸に引き寄せると、強く締め付ける。


「今日は腕枕で我慢してやるよ」

静かにそう言って、腕に力を入れた。
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