切なさに似て…
背中が冷たいとか、床に触れる背骨が痛いとか。

こんなリビングの入口じゃ、ムードもへったくれもないだとか…。


一弥の首に回した私の腕は正直だった。


「…お風呂、って、…言った、のに…」

なんて言葉は「黙って」と、塞がれた隙間によって掻き消されていく。


首筋を這いずり回る焦げるように熱い唇の膨らみが、骨の髄までに電流が走り抜ける。

シーツの代わりに一弥の腕を掴み取って、甘く痺れる快感に腰をよじらす。


耳の奥に届く生暖かい吐息。朦朧とし始める意識の中で、纏わり付くスカルプの香りに酔いしれる。

力を込めて押さえ付けられた両腕に痛みさえ消え失せる。

「…愛してる」

表情を歪ませ囁かれた言葉に。


全てはありのままに、快楽に身を任せる…。
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