切なさに似て…
まだ、ムカつくと愚痴る彼女に、我ながら素っ気ない台詞を吐いた。

「ま、買っちゃったんだから仕方ないんじゃない?嫌なら次から買わなきゃいいんだし…」

「だけど、断れないから。だって、相手はマネージャーだし。いらないですって言おうもんなら、あのはばぁのことだからすっごい嫌がらせ受けそうだし。
でもね、体にはいいからね。いいんだ、いいんだ」

「ふーん。…じゃ、いいんじゃない?」

最後の開き直ったかのような言葉に、少しの苛立ちを感じつつ、冷めた口から飛び出た私の、ちっとも心の篭ってない言葉。


「そうなの。いいの、いいの」

そそくさとハンドクリームをしまい込み、自分からまくし立てといて自己完結させる。


さっきの愚痴はなんだったんだろ?

答えの出ない疑問を頭の中で浮かべ、湯気を放つコーヒーを喉に流し込んだ。



『でも』、『だって』、『だけど』…。

さっちゃんのそれは、言い訳がましくて聞き飽きた。

彼女との会話はこんなことの繰り返しでうんざりだった。

1ヶ月に1回程度、ガールズトークの定例会と称して、たった2人でこの店で行われる。長い時で5時間にも及ぶ日もあった。

人の話しは聞き流され、さっちゃんの話題は次から次へと目まぐるしく変わっていく。
< 7 / 388 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop