切なさに似て…
こういうのを“話題豊富”と言うべきなのか、それとも“社交的”なのか。ただの“お喋り”なのか。


よくそんなに話すことがあるなって感心しながら、適当に打つ相槌は『ふーん』、『それで?』の繰り返し。

他の言葉は見つからない。

人の話しを聞くだけでこんなに疲れることは、まずないだろうなぁ…。


「ウチの彼氏ムカつくさっ。昨日、ウチに内緒でパチンコ行ってたんだよっ」


…パチくらいいいじゃん。

そう思うのも聞き飽きていたからで。


「また負けて来たって、金を捨てて来たみたいなもんだよっ。そう思わない!?」


何万も負けてばかりと言うなら、同情のしがいもあるかも知れない。

聞くところさっちゃんの彼氏はたまーにパチンコに行っては、必ず使う金額は3千円まで、それしかやらない、負けたら帰る。そうきっちりと徹底された人だから。

たまの息抜きくらいいいと思うけど…。


何がそんなに不満なのか聞いたことがあって。

『その三千円が無駄なんだよ!勿体ないんだよ、だって結婚するって言うのにそんなの困るんだよね』

じゃあ、自分のあのハンドクリームだかは?

前にも何だかよくわからない8千円する馬油買ったよね?

その前は1万円の化粧水だったっけ。

ま、強いて指摘する気にはならないんだけど。


「でも、たまに儲かるからいいんだけどさ」

その一言に、急激にのしかかる疲労。

いいのか、悪いのか。どっちなの?


…はぁーっ。

何だろ、帰りたい…。
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