切なさに似て…

自己紹介で、クラスメイトはみんな高校生活をどう送りたいか、趣味や何やりたいこれやりたいとしどろもどろで話す中。

信浩は『笹原信浩です』名前だけ告げ、みんながみんな最後に付け足す“よろしくお願いします”を“以上！”とだけ述べ椅子に腰を下ろした。

先生が『笹原ー、もっと何か言ったらどうだ？』と、声を張ると『入学式終わったら、こんな自己紹介なんて誰も覚えてないでしょ？』そう平然とあしらった。

クラスメイトはぽかーんとしていて、そのあとに続く他の人たちは『まぁ、覚えてないと思いますが…』なんて付け加え、自己紹介を脚色した。

それが印象的で、野球頑張りますや、勉強頑張ります。なんてありきたりな事柄よりも、信治は強烈に人を惹きつけた結果となった。

確か、私も真似して名前だけで終えたと思う。