切なさに似て…
机に頬杖つく私のおでこに、デコピンをしかけるのは信浩しかいなかった。

『また、ぽ~っとしてる』

『ぽ~っじゃないってばっ。ぼーっとしてんのっ』

机に座りこちらを見る信浩に、私はムキになって反論する。


『んなの知らんつうの。ぽ~っでも変わらんだろ』

『全然違いますーっ!ぽ~っなんて、アホみたいじゃんっ』

『アホじゃん?あれ、もしかして違うとか思ってんのかよ?』

失礼にも、お腹を抱え笑い出した。


信浩の膝をバシッと叩き、口を大きく開けた。

『もーうっ!うるさいっ!!考え事してんの、あっち行って』

『考え事?何だよ、もしかして…、俺のこと?』

ニヤリと意味ありげに笑みを作り、振り落とされた台詞。


『まっさかー。そんなわけないしっ!』

顔の横で手をヒラヒラ振って、全否定した私。


…そんなわけない。


そんなわけがない。
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