切なさに似て…
私が早く大人になりたかったのは…。

身勝手な大人達に振り回されることに、飽き飽きしていたから。

生まれた意味が見出だせなかったから。

早く身勝手な大人達から解放されて、自由になりたかったから。


そして…。

この捕われてしまった想いを、どうにかしたかったから。


好きだから、一緒にいたい。好きだから、笑顔がみたい。

好きだから…。

好きだって、言えない…。

このまま、一緒にいれる。このまま、笑顔が見れる。

好きになった瞬間から、私の選べる選択肢は一つしかないことに、16歳になった夏に気づかされた。


私は、信浩の傍にずっといられるために。

一番楽する方法を選んだんだ。



大人になれば、忘れてしまっているかも知れない。別の人を好きになっているかも知れない。それとも、ずっと好きでいるのかも知れない。

笑って話せる時が来るかも知れない…。


…だから、早く大人になりたかった。

“友達”という特等席は、そんなに悪いものではなかった。

“彼女”になりたいと心のどこかで願ってはいたけれど。
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