勝利の女神になりたいのッ!~第1部~


左近さんや朱理さんの少しからかいを含んだような言葉に部屋の空気は一気に和み、


「さぁ福島様、席に戻って私達も負けずに仲良く飲みましょう」


紅葉さんは正則の手を引いて立ち上がった。


正則も気まずそうな素振りを見せていたので紅葉さんの言うことに素直に従い、


「紅葉殿、酒じゃ!もっと酒を持て!」


声を張り上げて自分の席に腰をおろした。



私はそんな二人の様子をただじっと見つめるだけで、だけどさっき杯を私の手ごと口に運ぶ時に三成に強く握られた腕がジンジンと痺れていた。


この腕の痺れが三成の怒りを表してるようで、心がシクシクと痛んだ。


お酒なんて飲んだことないけど小さな杯の一杯を飲むことで三成を守れるなんて思い上がりだったのかもしれない。


現に結局正則の杯を飲み干したのは三成だ。


申し訳なさだけが心に積もっていく。


目の前では嫌だって駄々っ子みたいだった紅葉さんも笑顔を崩さずに正則の相手をしている。


朱理さんも清正を退屈させないように話をしながらもてなしている。


私だけ、本当に私だけが何も出来ず…


というよりは足を引っ張ってる気がして悲しくなった。





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