勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「奥方様、そろそろ後退出を。
薬湯の時間でございます。」
三成と私の後ろに移動してきた左近さんに声を掛けられた。
薬湯の時間なんて嘘。
これ以上この場で私がみんなの足を引っ張らないようにするための嘘なんでしょう?
だけど私まだ何出来てないんだよ?
清正と正則とまともに会話すら出来てないんだよ?
みんなが必死にこの場を用意してくれたのに申し訳ないよ。
「私まだ…」
「これ以上は体にさわる。
部屋に戻れ。」
有無を言わせない三成の口調が私の言葉を遮った。
「はい、
申し訳ありませんがお先に失礼致します。
皆さんはごゆるりとお楽しみ下さいませ。」
逆らえないと悟った私は三成の言葉に従って返事をしてから、退出の挨拶をした。
せめて最後位は明るくしようと、笑顔を浮かべながら挨拶をする私に近づいてくるのはノシノシと足音をたてる清正。
私の前にドスンと座るととても柔らかく微笑んだ。
「左近よ。
奥方は皆に好かれておるのだな。
左吉は良い嫁を娶った。」