勝利の女神になりたいのッ!~第1部~


清正の言葉を素直にうけとってもいいの?


それとも嫌味を言われてるの?


だけど清正の柔らかい表情は落ち込む私の心を和ませてくれた。


「ありがとうございます。
さすが加藤様。
よく見ていらっしゃる。」


私に話しかけれたわけではないので言葉をかけていいのか迷っていると、左近さんが応えてくれた。


「普段仏頂顔ばかりの三成が奥方が側にいるだけで…変わるものだな。」

ニヤリと笑いながら言葉を落とし、三成に視線を向ける清正。


三成は清正の言葉なんて聞こえていないような素振りで知らぬ顔を決め込んでいた。


「今日は来て良かった。
そろそろ俺達もお暇(イトマ)しよう。
正則、帰るぞ。」


「え?」


帰っちゃうの?

驚き、思わず声を漏らす私に清正は、


「うた殿、そんな声を上げたら益々佐吉が機嫌を悪くしてしまうぞ。」


ケタケタと笑いながら話していた。


そして体の向きを変えると紅葉さんに抱きついている正則に向かって歩き、


「正則、いい加減にしろ!」


紅葉さんに抱きついている正則を引き剥がした。





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