勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
慌ただしく正則を引っ張りながら部屋を出て行く清正の行動に私はその場に縫いつけられたように動けなかった。
そして左近さんも朱理さんも紅葉さんも一緒に部屋を出たのだろうか…
気がつけば私は三成と部屋に二人だけになっていた。
「あっ…あれ?」
「部屋に戻るぞ。」
呆けた声を出す私の手を取りぐいっと引っ張る三成に促されるまま立ち上がり、部屋を退出した。
夢をみたように現実味なんて全くない私は三成に手を引かれるままついて歩き、また気がつけば部屋に戻っていた。
「三成様?
私は夢を見ていたのでしょうか?」
思うまま言葉を口にするとくすくすと笑う三成に抱き寄せられた。
「俺も夢なのか?」
抱き寄せられた胸の中は三成の匂いでいっぱいで、だけどかすかにお酒の匂いも混じっている。
「夢ではありませんね。」
「夢でも良いぞ。」
「え?」
「俺が今から紫衣を夢の中から引きずり出してやる。」
言い終わると私の顎を指で持ち上げ、キスを落とす。
啄むように数回キスを交わし視線を感じて瞼を上げると三成の瞳に見つめられ、恥ずかしさにまた瞼を下ろした。
「目を閉じるな。
俺を見ろ。」
両頬を手で覆うように添えられ、俯いた顔を持ち上げられた。
恥ずかしさに震えながらも三成の言葉に逆らえない私はそっと瞼を持ち上げる。
瞳に飛び込んでくるのは満足そうに微笑む三成。
「夢だなんてやっぱり嫌です。」
私は三成の胸に飛び込むように抱きついた。