平安物語=短編集=【完】



「中宮様にはご機嫌麗しゅう、恐悦至極に存じます。」

「大臣、実の姉にそんなに畏まってくださいますな。」

私がそう申しても、弟は曖昧に微笑んで受け流しました。


「さて、畏くも東宮様には、来年には御元服でございますな。

そこで我が一族からも、一の姫を入内させようと考えております。」

「ええ、大君の噂は伺っております。

大層美しく、奥ゆかしい姫君にお育ちと…。」



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