平安物語=短編集=【完】
――この声は…!
ぱっと起き上がって見ると、微笑を浮かべた中将様が、もう御帳台の中に座っていらっしゃいます。
「どうして……」
呆然としていると、腕を引っ張られ、体勢を崩した私は中将様の腕の中に収まっていました。
「何を…!
お放しください!」
じたばたと暴れても、中将様は可笑しそうに笑うだけで全くかないません。
「大丈夫、何もしませんよ。
少しお話をしませんか?」
柔らかい声でそう言われた私は、疲れたしかなわないしで抵抗をやめ、大人しくすることにしました。
暴れたからでしょうか……鼓動がとても早いのです。