平安物語=短編集=【完】
「んんっ」
苦しくて必死で押しのけると、
「…あなたが言ったんじゃないですか。」
と意地悪く微笑まれます。
「……さっきのと全然違いますわ。」
真っ赤になりながら睨むのに、中将様は変わらずニヤニヤと満足げです。
「…もうっ。」
恥ずかしいやら悔しいやらで掛け物を頭の上まで引き被ると、掛け物ごと優しく抱き締められました。
「全く……私の我慢強さを有り難く思ってくださいよ?」
溜め息まじりに、やれやれという感じで呟かれましたが、私は無視してうとうとし始めました。
――いけない、また眠ってしまう……
そう思ったのですが、異様に重い瞼に抗えませんでした。