平安物語=短編集=【完】



思った通りの返答に、私はむっつりと黙り込みました。


――夫が他の女性の所へ行くのは止められないのに、妻が他の男と密通すれば不貞と罵倒される。

勿論、私は他の男と逢う気なんてさらさら無いけれど。

何て言う世の中なのかしら。

夫が通って来なくなれば、女は簡単に捨てられてしまうのだわ…


『春来ぬと 嬉しき時も いたづらに 秋こそ来ねと 驚かるるよ

(あなた様に愛され、やっと春が来たと喜んでいたのも儚いことで、あっという間に飽きられてしまったのかと驚くばかりですわ。)』

思い付きの歌をお返事に差し上げて、物思いに耽り始めました。


――いつまでも体を許さないから、もう嫌気がさしてしまわれたのかもしれない。

私だって……もう、許しても良いかもとは思っているわ。

でも中将様が御自分から迫って来ないんですもの…。



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