平安物語=短編集=【完】
その夜は、久々の独り寝に何度も寝返りを打ちながら何とか眠りにつきました。
翌日の昼前には中将様から文が届きました。
『久しぶりにあなたと離れて夜を過ごしましたが、本当に魂が体から抜け出てしまいそうなくらい、あなたの事ばかりを恋しく想っておりました。
それなのにあなたは、飽きが来たのかだなんて仰るのですね。
私の誠意を分かって頂けず、本当に情けなく思います。
秋来ぬと 言ひける妹(イモ)は いかにとぞ 物や思ふと 人の問ふまで
(物思いをしているのかと他人に問われるほどに、飽きられてしまっただなんて仰った愛しいあなたはどうしていらっしゃるだろうかと考え込んでいました。)
明後日の夜には伺いますから。』