平安物語=短編集=【完】
几帳に手がかけられ、スッと横に動かされました。
私は扇で顔を隠し、悠然とした態度を保とうとします。
「父子だというのに、そのような。
他人行儀にもほどがありますよ。
さあ、そんな扇は下ろしてください。」
「父子と言うわりには、おかしな振る舞いですこと。」
気品を損なわないように言うと、少将は軽く笑いました。
「男なんてそんなものでしょう?
あなたの愛しい中将様だって、口先ではあなたへの愛を連ねながら、実際は他の御方のもとへ行って愛を囁いているのではありませんか。」
ぐらりと、私の気持ちが揺れたように思いました。
どうして、この男にそんな事を言われなくてはならないの?
呆然としていると、袖を掴まれて扇を持つ手が下がり、ニヤニヤと笑う少将と目が合いました。
ぞっと鳥肌が立ったその時、
「姫様、御方様がおいでになりました。
お通ししても宜しゅうございますか?」