平安物語=短編集=【完】



「だぁれ…?」


「あ……大輔でございます…

申し訳ございません、お起こししてしまいましたか…?」

すぐに退散いたします、と立ち上がると、


「いいえ、寝付けないでいたの。

こっちへ来て、お話ししましょう?」

本心なのかお優しい気遣いなのか、そう仰います。


「いえ…

寝姿のままで来てしまいましたので…」

女房は、唐衣と裳をつけてお仕えしなければならないのに、今の私は、主たる姫様の普段着より寛いだ姿でした。

だからそう申し上げたのに、姫様はフフッと笑って

「昔は、二人して下着姿で眠ったじゃない。

私も寝間着だし、気にしないで大丈夫よ。」

と、手づから灯明をおつけになりました。



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