平安物語=短編集=【完】
そして、東宮のすぐ隣には御息所が控えている。
もう膝に抱かんばかりの有り様で、自分も上座につきたいという野心が私には見え見えだが、好色な兄院はその美貌にチラチラ目を奪われていた。
本当は、兄院のすぐ隣の几帳の向こうには、御息所より格段に美しい藤壺が控えているのだが…
几帳をしっかり目隠しにして、奥ゆかしく気配も消している。
今日のこの座席をどう思っているかと思うと、可哀想にという気持ちと一緒に、取り乱した藤壺を見てみたいという不躾な好奇心もわいてきた。