平安物語=短編集=【完】



悩みに悩んだ結果…やはり太政大臣の娘である藤壺を中宮に据えることにした。

ここで機嫌を良くさせた方が、万事やりやすくなると思ったのだ。


藤壺が中宮になって初めて会った夜、嬉しそうな顔をするだろうかと期待したが見事に裏切られた。

藤壺は、本当に儀式を経て中宮になってきたのだろうかと思われるほど普段通りに無関心なのだ。

残念ではあったが、やはり面白い。


それなのに、何気なく「宮。」と呼ぶと、ぴくっと反応してほんの少し頬を赤らめた。

照れているのだろうかと思うと可笑しくて、どうしようもなく可愛いと思われたが、そんな事を言えば大変な不興を被るかもしれないと思ってそっとしておいた。



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