平安物語=短編集=【完】



藤壺の部屋に着くと、案の定驚いたようで、少しだけ目を見開いた。

尚仁を隣に座らせ、「ほら、ご挨拶を。」とを促すと、

「はじめまして、中宮さま。

お目にかかれてうれしゅうございます。」

と、大変可愛らしく挨拶できた。

さすがの藤壺も、その可愛らしさに表情が和らぎ、

「初めまして、東宮様。

私こそ光栄に存じます。

この度はご愁傷様でございました。」

と、いかにも優しい声で答えた。
こんな声が出せたのかと、こっちが驚かされた。


以前宴で見かけて以来、美しい藤壺を慕っていた尚仁は可愛らしく頬を染めた。



< 292 / 757 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop