平安物語=短編集=【完】
そして、その年。
尚仁の成人を目前にして、左大臣が動いた。
尚仁に入内予定なのは、左大臣家大君、右大臣家の一人娘、それから宮家や大納言家などから数名。
尚仁に弟はいないため、次期東宮は尚仁の皇子となるだろうと見切った貴族達が、出し惜しみせずに娘を入内させてしまうのだ。
中でも、右大臣家の姫の美貌は空恐ろしい程だとの噂が流れていた。
両大臣家の一騎打ちとも言える情勢に左大臣は、大君の後ろ盾に、尚仁が母と慕う藤壺を据えようとした。