平安物語=短編集=【完】



「ああ、そう言えば。」

ある日、左大臣と政の話を終えて、左大臣が退出しようとした時に不意に口を開いた。


「わざわざお耳に入れる事でもございませんでしょうが、十日後に、私の姫の姉妹が中宮様をお訪ね申し上げます。

東宮様への入内前に、心構えなど御指南頂こうと存じまして。」


涼しげに美しい目で私を見据え、口は微かに微笑んで言った。


「ふん。

とっくに聞いているし、そなたの腹も読めているわ。」

軽く笑いながら言うと、左大臣も笑い声を洩らす。


「…それでこそ、我が主上。」

フッと涼しげに笑って会釈し、裾(きよ)を長く後ろに引いて出て行った。



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