平安物語=短編集=【完】
翌朝、いつも通り人々が集まって政を行った。
左大臣家の姉妹は、朝早く退出したらしい。
そして、話が一区切りついた時、何の前触れも無く話し出した。
「左大臣。」
「は。」
「昨日、そなたの長女を見かけ、一目で気に入った。
長女を、私に入内させよ。」
「……は?」
それぞれ雑談に興じていた右大臣達も、こちらを向いた。
「東宮への入内を取り止め、私の妃にしたい。
東宮には、私から言おう。」
いつも冷静沈着な左大臣が、さすがにうろたえていた。