平安物語=短編集=【完】
「は…しかし…」
わずかに汗を滲ませる左大臣を前に、悠然と頬杖をつく。
ここは、譲れない。
天皇の権威を最大限に生かして、最悪だろうと何だろうと、あの娘を手に入れる。
「不服か?」
自分の発する言葉の重さを嫌という程理解しながら、尚も言葉を続けた。
しばらく、不思議なものを見るかのような顔で私を見ていたが、やがて小さく息を吐いて
「有り難いご所望、謹んでお受け致します。」
と言った。
――勝った…
勝利を得た私はにっこりと微笑んで
「では、会議に戻ろうか。」
と言った。