平安物語=短編集=【完】



――数ヶ月後
左大臣の大君が、登香殿に入内した。

私は居ても立ってもいられず、今すぐ訪ねたいのを何とか堪えて、遣いを出して夜まで待つことにした。


清涼殿の寝所に座り、登香殿を待つ。

ただ、登香殿を「更衣」「和子」と呼んでしまわないかという事だけが、心配だった。


すっと襖が開けられて、顔を上げる。

そこには、更衣が生き返ったとしか思えないような女人が立っていた。

思わずにっこりと微笑みかけたが、本当は涙が出そうだった。


恋しい懐かしい更衣が、帰ってきた。

こんなに嬉しいことは無い…



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