平安物語=短編集=【完】
そう言ってじっと見つめると、怯えたのかなんなのか、身動きが取れなくなっていた。
見覚えのあるその表情に胸がいっぱいになって、本能の赴くままに着ていたものを脱がせた。
恥ずかしそうに身をよじるので、灯明を消してやる。
その間も、腕にひしと抱きしめたまま。
桃を扱うように優しく、小鳥を愛でるように軽やかに、溺れるように激しく――
女御の処女を奪った瞬間、小さくうめき声をあげた。
――何ということか。
あまりに更衣に似ているので、処女ということを忘れていた…
今更ながら、
「嫌なら…」
と声をかけると、女御は首を振った。
それ以降は、女御の体を気遣いながら。
そうして、男女の契りを交わした。